ノア(フローラルート)28 家族の時間
魔界に急がなければならないのは重々承知しているのですが、やはり10年振りに揃った家族の時間も大事です。
しかも10年振りにこの言葉も聞けました。
少しくらい幸せを噛み締めてもバチは当たらないと思います。
ちなみに、どれくらい幸せかというと…
顔を真っ赤にして娘にからかわれるくらいです。
嬉しいのは当然こども達も同じなので、お母さんが帰ってきた時には「すみにおけないのね」なんて言っていた娘も、育ててくれたおばさんの涙には素直につられます。
なのに「泣いてないもん」と強がるのは、もう10歳になった女の子のプライドなんでしょうか。
そんなことを言いながらも、夜中に怖くなったらお母さんのところに潜り込む気満々なようですが。
たまにはお父さんのところにも来てね…?
子ども達は子ども歴10年ですが、お父さんとお母さんはまだまだ新婚気分が抜けていません。
ラブラブでごめんね。
二人きりでグランバニア中を歩き回ってから、家族揃って散歩を始めます。
並んで歩けるだけで幸せです。
今までは何も答えてあげられなかった娘のこんな言葉も、お母さんが帰ってきた今ならもう大丈夫です。
ユーリ、ルーナ、この優しい人が君たちのお母さんだよ。
ずっとお父さんと一緒にお風呂に入ってきた息子も、眠いくせにお母さんと入ると言い出しました。
10歳のくせに…!
かといって娘がお父さんと入ってくれるかというとそんなこともなく、お母さんと入ると言われてしまいました。
確かに、今までずっと一人だったもんね…。
女の子同士、仲良く入っておいで。
お父さんは一人で寂しくゆっくり入るよ…。
皆で一緒にいられるだけで幸せだよ。
息子からはこんな嬉しい言葉も聞けたことですし。
今までよそのお母さんしか見たことなかったもんね。
お父さんも君たちが生まれてきてくれて本当に嬉しいよ。
再会した時から大きかったけど、また大きくなったねえ…。
と思ってたら、フローラさんはやはり寂しいご様子。
やはり10年は長いです。
一緒に歩いていても、とても親子には見えないでしょう。
始めの10年はそばにいられなかったけど、その分ほかの親子よりも10年長くいられるから、元気を出してください。